花園決勝 常翔学園がWTB松井のトライで御所実に逆転勝利、5度目の優勝! | ラグビージャパン365

花園決勝 常翔学園がWTB松井のトライで御所実に逆転勝利、5度目の優勝!

2013/01/08

文●斉藤健仁


1月7日(月)14時から、大阪・近鉄花園ラグビー場にて第92回全国高校ラグビー決勝戦、関西同士の常翔学園(大阪第1)対御所実(奈良)が行われた。Aシードの常翔学園が御所実の粘り強いディフェンスに苦しみながらも後半21分に逆転トライを挙げて17?14でノーサイド。常翔学園が17年ぶり5度目、校名が大阪工大から変わってから初の優勝を達成した。

前半1分、SO後藤が独走、常翔が先制トライ!

前半1分、SO後藤が独走、常翔が先制トライ!

試合前のミーティングで「一人ひとり前に出よう」と話していた常翔学園は、前半1分、SO後藤大輔(3年)が個人技で突破し、自陣から60mを独走してトライ。さらに5分、CTB木下亮太(3年)がラインブレイク、フォローしたWTB野崎翼(3年)が左中間にトライを挙げ10-0とリードする。

だが、「この2本のトライで余裕ができて受けてしまった」(常翔学園FB重一生、3年)と振り返ったように、御所実の個々のタックルが決まり、常翔学園は接点でペナルティーを重ねてしまう。

22分、PKから攻め込んだ御所実が相手ゴール前でモールを押し、FL立花拡聖(3年)がトライを挙げて10-7として前半を折り返す。

前半5分、常翔WTB野崎が2本目のトライ

前半5分、常翔WTB野崎が2本目のトライ

 

後半6分、御所実がFL立花のトライで10−14と逆転!

後半6分、御所実がFL立花のトライで10−14と逆転!

後半、先に点を取ったのもディフェンスからペースを握った御所実だった。6分、得意とするモールを押し込み、再びFL立花がトライ。ゴールも決まって10-14と逆転に成功する。

だが常翔学園はLO山田主将が「落ち着いて常翔らしいラグビーしたら絶対行ける、慌てないで行こう!」と声をかけ、FWとBKが一体となった攻めで相手のゴール前に迫る。一方の御所実も「この1年、7割はディフェンスの練習をしてきた」(HO竹井勇二主将)という粘りを見せてゴールラインを割らせない。

後半21分、常翔WTB松井の逆転トライ!

後半21分、常翔WTB松井の逆転トライ!

ゲームが動いたのは21分のことだった。スクラムを起点にボールを展開した常翔学園は、FWで内を突いた後、BKに素早くボールを展開。デコイランナーを走らせていたこともあり外側にスペースが空き、そこをWTB松井千士(3年)が快足を生かし、右隅にトライ。ゴールも決まってついに17-14の逆転に成功。「みんなが必死につないでくれたボールだったので、思いっきり走りました!」(松井)

喜ぶ常翔フィフティーン

喜ぶ常翔フィフティーン

 

攻める常翔、守る御所実

攻める常翔、守る御所実

残り10分ほど、御所実は接点でターンオーバーするなど持ち味を見せたが、常翔学園はしっかりとキックで敵陣に攻め込み、FWの足は最後まで止まらなかった。

御所実のモールを、逆に押しこむ常翔FW陣

御所実のモールを、逆に押しこむ常翔FW陣

そしてロスタイム、御所実ボールのモールを逆に押し込む力強さを見せて、最後はPR海士広大が御所実のノットリリースザボールのペナルティーを誘い、ボールをタッチに蹴り17-14でノーサイド。常翔学園が17年ぶり、5度目の優勝を達成した。

ノーサイドの瞬間、喜びを爆発させる常翔フィフティーン

ノーサイドの瞬間、喜びを爆発させる常翔フィフティーン

常翔学園の野上友一監督は「本当に選手たちはよく頑張ってくれました。最後の最後まで試合がどうなるかわからないところで集中力を持ち、よくラグビーを理解してやってくれたので嬉しい」と笑顔を見せ、大阪工大から常翔学園という名前に変わって初めての優勝を達成して「新しい歴史が残せて良かった」と締めくくった。

常翔のエース重を徹底マークする御所実のディフェンス

常翔のエース重を徹底マークする御所実のディフェンス

また最後の最後まで粘りのディフェンスを見せて観客を沸かせた御所実の竹田寛行監督は、逆転トライを許した場面に関して「あれだけ継続されたら高校生で守るのは厳しい。ただ今までやってきたことを誇りに思う。選手たちは良くやってくれた。公立校がよく止めていた」と、選手たちの頑張りを称えた。

常翔フィフティーンは笑顔で記念撮影

常翔フィフティーンは笑顔で記念撮影

 

熱戦が繰り広げられた近鉄花園ラグビー場(写真は開会式)

熱戦が繰り広げられた近鉄花園ラグビー場(写真は開会式)

12月27日に開幕した「第92回全国高等学校ラグビーフットボール大会」は幕を閉じた。今年も選手たちのひたむきなプレーが多くの人を魅了した。

この大会をもってラグビーを卒業するプレーヤー、次のステージにチャレンジするプレーヤー、それぞれの冬が終わり新しい春を迎えようとしている。



斉藤健仁
スポーツライター。1975年4月27日生まれ、千葉県柏市育ち。印刷会社の営業を経て独立。サッカーやラグビー等フットボールを中心に執筆する。現在はタグラグビーを少しプレー。過去にトップリーグ2チームのWEBサイトの執筆を担当するなどトップリーグ、日本代表を中心に取材。プロフィールページへ


 

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